修繕積立金って何?分譲マンション購入後にかかる費用について
分譲マンションの購入するとき、購入費以外の諸経費がかかります。登記費や固定資産税、印紙税、火災保険料、中古であれば仲介手数料などです。それらと別に必要で、購入後も支払い続けなければならないのが修繕積立金です。大規模な修繕に備えたもので、日常的な管理人は別途支払わなければなりません。今回は修繕積立金についてまとめます。
確認しよう!修繕積立金って何?
マンション購入後、毎月支払う経費に管理費と修繕積立金があります。どちらも建物の維持管理に使われますが、両者の用途はまったく同じではありません。管理費は共用廊下やエントランスホールの清掃、ごみ置き場の清掃、共用部分の電気料金、エレベーターなどのメンテナンス費用など日常的な管理業務に使用されます。
一方、修繕積立金は大規模な修繕に備えて積み立てる資金のことです。マンションは長期間使用していると経年劣化します。劣化を抑えるには適度な改修が必要です。修繕積立金はそれぞれの部屋の所有者(区分所有者)がマンションの管理組合を作り、修繕費用を積み立てます。
積み立てが必要な理由は、マンションの修繕費用が高額になるからです。大規模な修繕ともなると、数千万円もの支出になり、すぐに用意するのが困難であるため日ごろから積み立てておかなければならないのです。修繕積立金は以下のような場合に使用されます。
・10~13年周期で実施される大規模修繕
・機械式駐車場の整備
・エレベーターの部品交換
・各部屋の排水管の清掃
・風水害による補修
・新規の設備を設置する大型改修
定期的に実施される大規模修繕とは、外壁補修や屋上の防水工事、配管の補修、共用部分の修繕などです。このようなマンション全体にかかわる大規模修繕の財源として、修繕積立金が使われます。東日本大震災のような大規模自然災害が発生したときの修理費用も、基本的に修繕積立金から出されます。
積立金の状況がわかる?重要事項調査報告書とは
重要事項調査報告書とは、マンションの管理組合が発行する管理費や修繕積立金の改定予定、大規模修繕計画の見通しなどが記された書類です。満四の耐震診断の有無なども記載されています。注意しなければならないのは、重要事項調査報告書とマンション購入前に提示される重要事項説明書は別物だということです。重要事項説明書は売買に必要な書類で、売買契約の説明が主となった書類です。
それに対し、重要事項調査報告書は建物の修繕計画などが記された書類ですので、最初に述べた重要事項説明書とは別にチェックしなければならない書類なのです。また、この書類には管理会社やマンションの管理形態、管理組合の状況、マンション全体の修繕積立金の残高、実施した修繕工事、マンション全体の滞納状況、アスベストの仕様の有無などかなり多くの情報が記載されています。積立金以外のほかの項目についてもしっかり目を通すことをおすすめします。
修繕積立金の相場は?修繕積立金の目安を解説!
修繕積立金の目安については、国土交通省が出している「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」が参考になります。このガイドラインは2011年に公表されましたが、2021年9月に改定されています。修繕費の目安は地上回数と建築延べ面積を基準に定められています。1平方メートル当たりの修繕積立金の平均は以下のとおりです。
・20階未満で5,000平方メートル未満:335円
・20階未満で5,000~1万平方メートル未満:252円
・20階未満で1万~2万平方メートル未満:271円
・20階未満で2万平方メートル以上:255円
・20階以上:338円
上記の金額に自室の専有面積をかけあわせることで修繕積立金を割り出します。
滞納が多い物件は要注意!
修繕積立金は居住する以上、かならず支払わなければならないものです。しかし、現実問題として支払っていない人も存在します。そのようなケースが発生するとマンションの管理組合は修繕積立金の支払いを督促し、それでも応じない場合は裁判に訴えるケースもあります。マンションの区分所有者が修繕積立金を滞納したまま売却すると、次の買主が過去の修繕積立金の支払いを求められる可能性もあります。
中古マンションを購入する前に、前の所有者に滞納金の支払いを求め、売買代金と相殺するなどの対応策をうっておきましょう。また、購入時に滞納に関わる債務の引継ぎ義務の有無についても、しっかりと確認しなければなりません。
まとめ
今回はマンションの修繕積立金についてまとめました。マンションは区分所有者ひとりの財産ではなく、マンションに住むすべての人が関わってくる資産です。資産価値を維持するにはいざというときに備えた修繕積立金が必須です。日本のように自然災害が多い国では、いつなんどき、大規模な修繕が必要となるような破損が起きないとも限りません。マンションの価値を維持し、自分たちの暮らしの安全を守るためにも、修繕積立金は滞納せず支払っておきましょう。また、中古マンション購入時には、売主が諸経費を滞納していないことをしっかりと確認し、トラブルを回避するようにしましょう。