分譲マンションの寿命は何年?一戸建て住宅よりも長く住めるってホント?
これからマンションを買おうとしている人にとって、あと何年住めるマンションなのかは非常に重要なポイントでしょう。せっかく購入してもすぐに寿命が来て、退去せざるを得ないなんてことは避けたいですよね。今回は、中古マンションの寿命について詳しく解説します。これを読んで、失敗しないマンション購入を目指しましょう。
マンションの寿命は何年?
■メンテナンス次第で寿命は100年以上
マンションの寿命は物件の状態によって大きく変わってきます。建物内部の構造、使用されているコンクリートの質など建築当初の条件に加え、管理・修繕などメンテナンスの有無、地震などの災害に遭っているかなど完成後の状況にも左右されます。国土交通省の調査によれば、マンションなどの鉄筋コンクリート造物件の平均寿命は68年、長い場合は120年まで、さらに外装仕上げ等の措置が行えば最大で150年まで延命が可能としています。
■法定耐用年数=寿命ではない
建物の寿命を測る指標として法定耐用年数がよく挙げられます。しかし、これは必ずしも建物寿命を反映した指標とはいえません。法定耐用年数とは、資産が利用に耐えうる期間のことを指し、税務上は期間を超過すると資産価値はゼロになります。つまり法定耐用年数を超過したマンションは、税務上では価値がゼロの資産ということになります。
しかし、税務上の価値がゼロであっても、そのマンションに住めなくなるわけではありません。建物の耐久性に問題がなければ、耐用年数を超過しても今まで通り住み続けることは可能です。なお、マンション(鉄筋コンクリート造物件)の法定耐用年数は47年と定められており、先程の国土交通省が示している平均寿命68年よりもかなり短くなっています。このことからも法定耐用年数は実際の建物寿命を反映したものではないことが分かるでしょう。
■配管が原因で早めに取り壊される場合もある
マンションが通常よりも早めに取り壊される主な原因として、配管の老朽化があります。配管の寿命は25~30年といわれています。配管が寿命を迎えた場合でも、修繕工事によって新しいものに交換できれば取り壊す必要はありません。
しかし、構造によっては配管がコンクリート内に埋め込まれてしまっているマンションも存在します。その場合は、交換ができないためやむなく建物を取り壊すしか選択肢がないのです。実際に、国土交通省によって行われた調査では、築30年を超えたマンションについて建て替えを検討した理由として「排水や給水設備の劣化」が54.1%にものぼり、全体の1位になっています。
寿命を迎えたマンションはどうなる?
もし住んでいるマンションが寿命を迎えてしまったら、いったいどうなるのでしょうか?
■建て替えられる
選択肢の一つ目は建て替えです。建物設備も含めてすべて入れ替えて、新しいマンションにしてしまう方法です。工事費用は毎月の修繕積立金ではまかなえないため、居住者が各々負担することになります。いくらの費用が必要かはマンションの規模によってさまざまですが、1世帯当たりの負担金の相場は約2,000万円といわれています。しかし、自宅が新しくなるとはいえ、2,000万円もの大金を簡単に用意できる世帯は少ないでしょう。
さらに、建て替えを行うにはマンション居住者の5分の4の賛成が必須となっており、この点からも建て替えのハードルの高さが感じられると思います。実際、老朽化によって建て替えが必要とされるマンションでは、その多くが居住者の同意が得られずに計画がストップしたままになっています。
■取り壊して更地を売却する
二つ目は取り壊しです。この場合は先程の例と違って、入居者全員の退去が必要になります。万が一、引越し先が見つからない人が出た場合、その人を放って取り壊しを始めるわけにはいきませんから、これもハードルは非常に高いといえます。なお、取り壊しが決まった後は、デベロッパーがそのマンションごと購入して取り壊し、更地を売却に出すという流れが多いようです。
将来を考えて購入を決めよう
■将来住み替えるか住み続けるかで購入物件は変わってくる
これまで見てきたように、マンションが寿命を迎え、そのままではもう住めないという状況となると、入居者にできることはかなり限られてしまいます。思い描いていたライフプランと違ってしまわないように、マンション購入の際は何年住む計画なのかをしっかりと決めておきましょう。そうすれば、やむなく退去しなければならない事態は避けられるはずです。
■ずっと住む場合は、管理が行き届いた物件を購入しよう
長く住むことが前提なのであれば、マンションの管理が行き届いているかがとても重要です。もしも管理が不充分であれば、時間が経つにつれてさまざまな箇所に傷みや故障が出てきてしまい、マンション寿命がどんどん短くなっていきます。とくに、高齢になってからマンションの不具合が発生してくると、日常の生活にも大きな支障が出てくる可能性があります。築年数が浅いからといって油断せずに、物件選びの際は管理が行き届いているかどうかをあなたの目で確認するようにしましょう。
今回はマンション寿命について見てきました。マンションの寿命は何年と一概にいうことはできません。平均は68年ほどですが、メンテナンス状況次第でもっと長くなったり短くなったりします。そして、もし寿命が来てしまうと建て替えるか取り壊すかのいずれかとなりますが、いずれのパターンも住民の合意形成のハードルがとても高く、結局は手が付けられずに老朽化だけが進んでいってしまいます。自分が住んでいるマンションがそうした悲惨な状況にならないためにも、管理状況がどうなっているかはマンション選びの際には重視して検討するようにしましょう。