分譲マンションの管理会社は何をするの?管理組合との関係や役割とは
分譲マンションの管理会社が、具体的にどのような役割を果たしているかご存じでしょうか。今回は、意味を混同しがちな「管理組合」と「管理会社」の違い、管理会社が行なっている具体的な業務内容など、建物の将来性を担うといっても過言ではない管理会社について、基礎知識をご紹介します。
管理組合と管理会社は何が違うのか
分譲マンションを購入する際は、初めて耳にする単語が多く、それぞれの単語の違いが分からないと悩む方が少なくありません。とくに「管理組合」と「管理会社」については、言葉の響きも近いため混同してしまいがちですが、これらはマンションの住人にも関わりのある組織であるため、正確に理解しておきたいところです。管理組合と管理会社の違いをチェックしてみましょう。
■管理組合とは
管理組合とは、区分所有者で構成される組織で、マンションの世帯全員がその一員に当てはまります。分譲マンションには、区分所有法という法律に基づいたルールが設けられており、マンションはそれぞれに管理組合を設けることが定められています。管理組合は、構成員のなかから代表となる人を選んで理事会を設け、理事会は、マンションの管理について意思決定するのが役目です。管理組合といっても、それを本業にしているわけではなくそれぞれ個人は自分の仕事をしているため、マンション管理についての知識を所有していないケースがほとんどです。
■管理会社とは
管理会社とは、マンションの維持や管理を専門的に行う会社のことで、マンションの管理組合から委託を受け、専門知識を持たない管理組合に代わって、実質的にマンションの維持管理を行います。マンションを販売するデベロッパーのほとんどは系列会社に管理会社があり、それらがマンションの管理に当たることが多いでしょう。管理会社がどの程度マンションの維持管理に関わるかは、マンションの管理組合との契約によって変わります。減りつつありますが、なかには管理会社へ委託せず、管理組合だけで維持管理を行なっているマンションもあります。
管理会社の役割とは
管理会社は、管理組合からの委託を受けてマンションの維持管理に務めますが、その業務内容は多岐に渡ります。すべての管理会社が以下の業務をすべて請け負っているわけではなく、どの範囲の業務を請け負うかは、管理組合との契約によって決定されます。
■事務管理
管理会社の役割のなかでも大きなウェイトを占めるのが事務管理業務です。管理組合の運営についての管理業務がメインになります。毎月発生する管理費や修繕積立金の徴収や滞納者の管理などの付帯業務、管理組合の年間の予算や決算に関わることも管理会社が行ないます。ほかに、重要書類の保管や理事会や総会の支援も事務管理のうちのひとつです。
■清掃
マンションの共有スペースの衛生管理やゴミの回収のような日常清掃に加えて、床面の機械洗浄や外壁洗浄などの定期清掃などの清掃業務も管理会社の仕事のひとつです。管理会社のスタッフ(管理員)が作業に当たることもあれば、管理会社が専門業者へ依頼し、清掃の専門業者が作業をすることもあります。
■建物や設備の管理
電気設備や消防設備、エレベーターなど建物の保守点検業務を行ないます。エレベーターや消防設備などは、保守点検が法律によって定められているため、実際には、管理会社が資格を持った専門業者を選定し、業務は専門業者が行ないます。
■管理員の配置
マンションの維持管理に携わるスタッフ(管理員)を配置するのも、管理会社の仕事です。管理員は、マンションの日常的な受付や点検、外注業者へ依頼したときの業務の立ち合い、管理組合から預かる文書の配布や掲示などさまざまな形でマンションの維持管理に関わります。管理員の勤務形態は、マンションに住み込む常駐型や、出勤する曜日や時間が決まっている日勤型、複数のマンションの管理を行なう巡回型などマンションによって異なります。管理組合と管理会社の間に立って、報告や連絡をするのも管理員の仕事です。
購入前に管理会社などの情報も集めておこう
分譲マンションを購入する際は、多くの方がマンションを販売するデベロッパーについての情報を収集するのではないでしょうか。マンション購入後の日常的なつながりは、デベロッパーよりも管理会社とのほうが大きくなることも考えられます。分譲マンション購入前には、管理会社の情報収集も忘れず行なうことをおすすめします。
■管理会社が建物価値を左右する
マンションの各世帯から徴収された管理費や修繕積立金を使用して、どのようにマンションの管理維持に努めるかは、管理会社の腕にかかっています。ずさんな維持管理では、建物の劣化を防ぐまたは遅らせることができません。月々の出費を考えるとマンションの管理費は安く抑えたくなりますが、安い管理費ではできる管理も限られてしまいます。長く安全なマンションで生活するためにも、管理費は金額だけでなく、金額に見合った維持管理が行なわれているかどうかが非常に重要です。
■見学の際は状況チェックを
中古の分譲マンションを購入する際には、見学の際にマンションのエントランスや駐輪場などの共有部分のチェックを忘れずに。きちんと清掃や補修が行われていれば、建物は経年劣化を遅らせることができます。可能であれば仲介業者へ依頼して、管理組合の財務諸表などで、管理費や修繕積立金の状況が確認できれば安心です。
管理組合と管理会社は、言葉が似ているため内容を混同しがちですが、組織としてはまったく別のものになるため、それぞれを分けて把握することをおすすめします。とくに管理会社は、マンションの管理や維持、建物としての価値を左右する重要な役割を担います。三重で分譲マンションの購入を検討している方は、管理会社についての情報収集も忘れずに行ってみてください。